UCEニューズ・レター@
University Continuing Education

Vol.1,No.1 December1999−January2000
第1巻第1号
編集:私立大学通信教育協会 発行:平成12年2月1日

大学基準協会が「大学通信教育基準」の改訂に向け準備を開始

 財団法人大学基準協会(丹保憲仁会長)は、「大学通信教育基準」(昭和22年12月15日決定)の改訂に向けて委員会を設置し、すでにその検討を開始した。同委員会の委員長には、清成忠男法政大学総長(大学基準協会理事)が就任し、また、江澤郁子日本女子大学家政学部長も委員に加わっているようであるが、他の委員など詳しいことはわからない。
 「大学通信教育基準」の最近改訂は昭和61年3月であり、その後の一連の大学改革、とりわけ授業の方法に関する平成10年の制度改正および通信制の大学院の制度化など、大学通信教育を取りまく環境の大きな変化に対応することが求められるものと思われる。しかし、この点について、当協会の『私大通信(50周年記念号)』(平成12年2月発行予定)の座談会に出席した前期の清成法政大学総長は、次のように発言している。「先ごろ、大学基準協会が「大学通信教育基準」を改訂したいということで、私が委員長となって検討を始めたところです。そこで、まず何が論点なのかをフリートーキングしてみました。すると、通信制ではなく、通学制の学部、あるいは大学院の授業ですでに情報技術(IT)の活用がどんどん進められていて、そうなると、通信制に情報技術を取り入れることと一体どこが違うのかという話になりました。それで、「大学通信教育基準」の改訂は通信教育固有の問題だけに絞り、情報技術の活用については、通信教育であろうが通学制の学部であろうが、また大学院であろうが、共通に議論するべきではないかということになりました。」
 いずれにしても、今後の審議の動向が注目される。


日本女子大学通信教育課程が50周年記念式典・祝賀会を開催(平成11年12月4日)

 日本女子大学通信教育課程の創設50周年記念式典・祝賀会が、平成11年12月4日、文京区目白の椿山荘で開催された。学内外関係者約350名が出席し、盛会であった。
 記念式典では当協会の佐藤昌一郎理事長が、祝賀会では青木生子前会長(日本女子大学前学長・理事長)が来賓祝辞を述べた。
 また、記念誌『日本女子大学通信教育の50年』が刊行され、来場者に配付された。


北海道情報大学通信教育部が協会に加盟決定(平成11年12月6日)

 平成11年12月6日に開催された当協会第95回理事会・第60回評議員会において、北海道情報大学通信教育部(北海道江別市)の当協会への新規加入が承認された。正式加入は、平成12年4月1日付となる。
 北海道情報大学は平成6年度から通信教育課程を設置し、指定専門学校とのダブルスクール学生(正科生B)を対象とした「メディア授業」など、ユニークな授業方法を実施している。


武蔵野美術大学が4年制通信教育部設立を準備(平成11年12月8日付告知)

 武蔵野美術大学は、平成11年10月18日開催の定例教授会で、将来構想委員会の中に4年制通信教育部設立を目途としてこれを検討する「4年制通信教育部専門委員会」の発足を報告し、平成15年4月の開設に向けて準備を開始したことを明らかにした。
 武蔵野美術大学は、昭和34年から短期大学部において通信教育課程を設置してきたが、平成11年度以降の学生募集を停止している。


私大の設立審査が8カ月に短縮(東京新聞平成11年12月11日付夕刊)

 東京新聞によると、文部省は、現在2年度にまたがっている私立大学・短期大学の設立審査期間を、平成14年度開設予定の大学、短大から単年度(開設前年度の4月申請、12月認可)に短縮する方針を固め、近々省令改正を行う予定である。
 「期間が長すぎる」「大量の書類が必要になる」などの批判に答えた規制緩和の一環であるが、「建物をいつ建てたらいいのか」「審査が甘くなり、質の悪い大学が出てくるのではないか」などの心配の声もあるという。
 紙面では、「看護職員養成」や「地域振興」が取り上げられているが、通信教育も抑制の例外であることから、この措置によって、通信教育課程(または通信教育学部)の新設を行う大学の増加がさらに加速することが予想される。


設置審が平成12年度開設予定大学・大学院等を答申(平成11年12月14日)

 文部省の大学設置・学校法人審議会(末松安晴会長)は、平成11年12月14日、「平成12年度開設予定大学等」および「平成12年度開設予定大学院等」について答申した。これを受け、文部省は年末、その全てを認可した。
 新たに通信教育課程を開設するのは2大学、2大学院である。これにより、平成12年度の大学通信教育実施校は、19大学(放送大学を除く)、10短期大学(内2校は学生募集停止)、6大学院となる。

(平成12年度)大学における通信教育の開設認可

 

大   名

 

 

学科(専攻)


( )内は234年次編入学定員

 

位  置

東京福祉大学

社会福祉

社会福祉 (社会福祉)

700306010

群馬県伊勢崎市

(国際福祉心理)

220103010

人間総合科学大学

人間科学

人間科学

2,000

埼玉県岩槻市

(平成12年度)大学院における通信教育の開設認可

大 学 院 名

研究科名

専 攻 名

位  置

帝京平成大学大学院

情報学

情報学

50

千葉県市原市

東亜大学大学院

総合学術

法学

50

山口県下関市

人間科学

50

環境科学

28

情報処理工学

28


中央教育審議会が「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」答申(平成11年12月16日)

 中央教育審議会(根本二郎会長)は、平成11年12月16日、中曽根弘文文部大臣に対して「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」を答申した。
 大学通信教育については、「第6章 学校教育と職業生活との接続」の「第3節 生涯学習の視点に立った高等教育」において、「職業を持つ社会人のリカレント教育やリフレッシュ教育の需要の高まり等に対応し、例えば、大学においては社会人特別選抜や夜間部・昼夜開講制の実施、科目等履修生の受入れ、通信教育や公開講座の実施、編入学機会の拡大等アクセスの拡大に努めているところである。(中略)今後、雇用慣行の変化等により、他の職場でも通用する高い技術や能力を身に付ける必要性が増大し、このような社会人の学習機会に対する需要は一層高まることが予想されることから、高等教育機関においては、より一層積極的に社会人の受入れ体制の拡充を図る必要がある」(p.40)と述べている。
 また、通信制大学院については、「高度な専門性を持った職業人養成や社会人再教育のための機会提供の拡充を図るため、放送大学大学院の実現への取組が期待される。また、その際には、衛星通信やインターネット等のマルチメディアを幅広く活用した学習機会の拡充を図ることに留意する必要がある」としている。


当協会の平成11年度第2回連絡会議をNTT東日本(株)で開催(平成11年12月16日)

 平成11年12月16日、当協会主催による平成11年度第2回連絡会議が、アーバンネット大手町ビルのNTT東日本(株)で開催された。加盟18大学・短期大学から40名の教職員が参加した。
 「通信教育に新しいメディアをどう活用するか」をテーマに、前半は、鈴木克夫協会研究事業課長により、大学通信教育設置基準の「授業の方法」の考え方がどう変わったのか、問題提起が行われた。後半では、NTT東日本マルチメディア推進部の箱崎修平氏と濱川泰次氏により、新しいメディアの活用例として、「WIDE大学」(動画配信技術他)と「専修大学」(Web上で学習できるWBT他)などの事例が具体的かつ視覚的に紹介された。同時に、南 学氏(横浜市企画局政策部調査課長(当時)・平成12年4月静岡文花芸術大学助教授就任予定)・菊地正夫氏((有)ムーベックス代表取締役・前日本通信教育振興協会事務局長)・五月女芳男氏(産能大学通信教育事務部長)の3名の指定討論者を中心とした質疑応答が行われた。また、加盟各校におけるマルチメディア導入の取り組みについて報告が行われた。


破綻大学学生の受け皿機関に放送大学や通信教育も(週刊朝日平成11年12月24日号)

 週刊朝日(12月24日号)によれば、文部省は、私大の経営が厳しくなっている中で、経営破綻した私大の学生の受け皿機関について具体的な検討に入っているという。
 その中で、学生の学習権を保護する仕組みとして放送大学の利用が考えられるという文部省私学行政課担当者の話のほか、「放送大学や通信教育などで、学生の足りない単位を補って、学位授与機構が単位を認定するような方法も考えられる」という中津井泉リクルート『カレッジマネジメント』編集長の提案など、通信教育との関わりにも触れられ、興味深い。


文部省大学課長が通学制と通信制の二元的制度の見直しを示唆

 合田隆史文部省高等教育局大学課長は、リクルートの『カレッジマネジメント』100号記念特集号(平成12年1月1日発行)の特別企画「高等教育のイノベーション100人の提言」に寄稿した「検討しなければならない5つの課題」と題する論考の中で、「通学制と通信制という二元的な大学制度の見直しも必要になるかもしれない」(p.59)と述べている。
 大学審議会は、通信制大学院の制度化に際して、「[マルチメディア技術の進展によって]分野によっては、将来的に、通学制と通信制の境界がなくなるような状況も考えられるが、(中略)当面は、従来どおり通学制と通信制という区別を維持した形で通信制大学院制度を発足することとし、その後の技術の進展に対応して、大学院制度及び設置基準全体の在り方を再検討するというステップを踏むことが適当である」(「通信制の大学院について(答申)」(平成9年12月8日))という考え方を示した。また、通学制の高等教育機関における「遠隔授業」についても、「直接の対面授業に近い環境で行われ、直接の対面授業と同様に取り扱うことが望ましいもの」(「「遠隔授業」の大学設置基準における取扱い等について(答申)」(同日))に限定し、通信制の教育方法とは一線を画している。しかし、大学審議会への新たな諮問「グローバル化時代に求められる高等教育の在り方について」(平成11年11月18日)において、国際化と情報化の問題がその検討事項として示されたことから、通学制と通信制の境界の問題に大学審議会が本格的に取り組むことが予想される。
 一方、同じ論考の中で、合田課長は、「物理的なキャンパスで、直接顔と顔を合わせて、記号化できない文化の共有と継承をその重要な機能としていた古典的な大学観は、大きな試練に直面しているといっても過言ではない。このような状況のもとでは、大学通信教育がパイオニア的な役割を果たし、新しい大学教育の形を創り上げていくことが期待される」とも述べ、大学通信教育への期待を表明している(平成11年12月10日に行った『私大通信(50周年記念号)』(平成12年2月発行予定))の座談会でも同様の発言をしている)。
 今後の大学審議会における審議が注目される。


(社)日本通信教育振興協会が新春セミナーを開催(1月25日)

 社団法人日本通信教育振興協会(川勝義秋会長)は、平成9・10年度の2年間にわたり、文部省の委託による「インターネット等のマルチメディアを活用した社会通信教育の在り方に関する研究開発」事業を行い、その成果を報告書にまとめた。同協会では、この報告書の内容を総括して報告するとともに、より具体的な活用事例を紹介するため、平成12年1月25日、千代田区一ツ橋の日本教育会館にてセミナーを開催した。
 このセミナーでは、菊地正夫氏((有)ムーベックス代表取締役)の進行により、NTTコミュニケーションウェア(株)の堂山真一氏からインターネット遠隔教育コース“Freshman's Net”について、NTT東日本マルチメディア推進部の佐藤一夫氏、箱崎修平氏から“専修大学”および“スマートキャンパス”について、それぞれ事例紹介が行われた。続いて、佛教大学教育学部教授の白石克己氏(同委託研究実行委員長)による総括が行われた。


全私学連合が文教関係国会議員を招き私学振興に関する懇談会を開催(1月26日)

 全私学連合(鳥居泰彦代表)は、1月26日午後6時から、東京市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において、中曽根弘文文部大臣、森山眞弓文教制度調査会長をはじめとする自由民主党文教関係国会議員約100名(代理出席を含む)の出席のもと、「私学振興に関する懇談会」を開催した。
 同懇談会は、平成12年度文教関係の税制改正並びに予算編成に際し、特に、私学振興のために理解と尽力をいただいた文教関係国会議員と政府関係者へ謝意を表するため実施されたものであり、私学側から全私学連合の私学予算委員を中心に約120名が出席し、なごやかな懇談が行われた。


日本ディスタンスラーニング学会が遠隔教育に関するセミナーを開催(1月27日)

 日本ディスタンスラーニング学会(磯田 浩会長)は、東京都立科学技術大学の協力により、同大学遠隔教育センターの設備および運用組織を共同利用した遠隔教育の共同実証実験を目的とするコンテンツ・ライブラリ・センター(Contents Library Center:CLC)プロジェクトを開始した。このプロジェクトに参加する団体または個人は、同大学の設備を利用して遠隔教育コンテンツの開発および実証実験ができる。
 同学会では、このCLCプロジェクトの説明会をかねたセミナーを平成12年1月27日、日野市の東京都立科学技術大学にて開催した。セミナーでは、石島辰太郎同大学工学部教授により、ディスタンスラーニング、CLCプロジェクト、東京都立科学技術大学遠隔教育センターについて説明があった後、このプロジェクトをサポートする企業8社(日本アイ・ビー・エム、富士通、キャノン販売、リアルネットワークス、NTT東日本、ランドマークプロジェクト、ロータス、遠隔教育研究所)による技術説明が行われた。また、後半では、「ワイドプロジェクト/スクール オブ インターネット」について、同代表の大川恵子氏から報告があった。
 同プロジェクトに関する連絡先は、日本ディスタンスラーニング学会CLCプロジェクト事務局(〒141-0031東京都品川区西五反田3−12−13 TEL:03-5437-5177 FAX:03-5437-5201 e-mail:jdla-clc@dli.co.jp)。


◆ お 知 ら せ ◆

春期合同入学説明会がスタート(2月12日〜3月5日)

 当協会主催による春期合同入学説明会が、2月12日(土)からスタートする。今年度は、7都市で延べ12日間開催する計画である。実施計画の詳細は下記の通り。

     平成12年度春期合同入学説明会実施計画

開 催 日

都 市

会 場 名

校数

2月12()

東 京

新宿エルタワー30

21

2月13()

仙 台

斎藤報恩会館

17

2月19()20()

札 幌

プラニスホール

19

2月19()

大 阪

阪急グランドビル26

19

2月20()

名古屋

第二豊田ホール

19

2月26()27()

福 岡

エルガーラホール

18

3月4日()

東 京

新宿エルタワー13

21

3月4日()

大 阪

OMM

18

3月5日()

名古屋

第二豊田ホール

17

3月5日()

広 島

国際会議場

17

    ※開催時間は、土曜日12:0017:00 日曜日10:3016:00

 


メディア教育開発センター主催のシンポジウムで大学通信教育の実態を報告(3月22日)

 文部省大学共同利用機関メディア教育開発センターの研修事業「大学授業の自己改善法」シリーズの総括として、同センター主催によるシンポジウム『かわる学生・かわる大学〜学習支援の実践と課題〜』が3月22日(水)、AV&CCシステムスクエア1F「ハイビジョンホール」(東京都品川区)で開催される。
 講師は4人で、広島大学大学教育研究センターの羽田貴史教授は、近年の大学生の学力低下状況やそれに対する各種の取り組みについて、関西国際大学エクステンションセンター長の濱名篤教授は、大学として学生の学習支援をどのように組織化しているのか、その実践例と課題について、都城工業高等専門学校の木村友久助教授は、教員が授業の中で学生と向き合う場合の学習支援実践と課題について、最後に、当協会研究事業課長の鈴木克夫が、学習継続が困難な大学通信教育の学生の実態を紹介するとともに、「読む・書く・問う」の指導を目指したCD−ROM教材の開発過程について報告する。司会は、メディア教育開発センターの吉田文助教授。
 このシンポジウムの詳細は、メディア教育開発センターの該当ページを参照。参加申込み、お問い合わせは下記へ。
 メディア教育開発センター 事業部ネットワーク課 研修企画係 担当大山
    TEL:043-298-3107 FAX:043-298-3477 e-mail:ooyama@nime.ac.jp


 編集後記▼いま、大学通信教育は注目されている。マルチメディア、通信制大学院……、話題には事欠かない。通信教育課程を新たに設置しようという大学も増加の一途である。一方、情報技術(IT)の発達によって通学制と通信制の境界は早晩なくなるという認識ももはや一般的なものとなっている。大学通信教育は、どうあるべきか。高等教育のパイオニアとして発展するか、通学制に吸収されてなくなるか、関係者の見識が問われている。▼『私大通信』が第50号を最後に休刊して5年。情報の陳腐化のスピードは、この5年の間にさらに加速した。大学通信教育に関わる情報の数々を速やかに公開するために、とりあえず隔月刊を目標にニューズレターを発行することにした。とりあえず、こんな形で……。▼加盟各大学・短期大学における活動、その他、情報をお寄せ頂きたい。▼このニューズレターに関するお問い合わせ、ご意見ご希望は下記まで。

財団法人私立大学通信教育協会
〒113-0033東京都文京区本郷2−27−16
大学通信教育ビル3F
TEL:03-3818-3870 FAX:03-5803-9939
e-mail:uce-ks@mxa.mesh.ne.jp